お酒というものは、人の生死において無くてはならないものではありません。しかし、お酒を酌み交わすという行為を通じ、人は心を通わせてきたのではないでしょうか。
今代司酒造では「むすぶ」ということを自身の存在価値であると考え、日々の取り組みをしています。
社名 | 今代司酒造(イマヨツカサシュゾウ) |
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住所 | 〒950-0074 新潟県新潟市中央区鏡が岡1番1号 |
営業時間・定休日 |
代表 【営業時間】AM 9:00-PM5:00 【定休日】土・日曜、祝 直売店 【営業時間】AM 9:00-PM5:00 【定休日】年中無休(年末年始12/31~1/3休業) |
連絡先 |
代表 TEL:025-245-3231 / FAX:025-245-3233 直売店 TEL:025-245-0325 |
代表者 | 代表取締役社長 岡田 龍 |
創業 | 1767年 初代但馬屋十左ェ門が創業 (会社設立1951年10月1日) |
当初は酒の卸し業や旅館業、飲食業を商いにしていました。江戸後期から明治初期の新潟は、北前船が頻繁に寄港していたため、人口が江戸より多かったといわれるほど大変繁栄していたそうで、今代司も繁盛していたようです。
酒造りに本格参入したのは明治中期に入ってから。地盤がよく、阿賀野川のきれいな伏流水が出て、さらに栗ノ木川(現国道49号栗ノ木バイパス)によって原料や製品の運搬に便利だった沼垂(ぬったり)の地に蔵を構えました。この“ぬったり”には他にも多くの酒蔵、味噌蔵、醤油蔵などが立ち並び、今でこそその数は減りましたが、発酵食の町として知られています。新潟は江戸・京都に並ぶ日本三大花街があった土地でもあり、“ぬったり”の蔵は一流料亭の職人たちに鍛えられ味を追求してきたのです。
昔、まだ酒を瓶詰めではなく、樽詰めで出荷していた頃のことです。町の酒屋さんは酒蔵から仕入れた樽詰めの酒に水を加え、薄めて量を増やしてから売ることが許されていました。ところが酒蔵も酒蔵で出荷する前に水を加えていました。金魚も泳げるほど水で薄まった酒であることを揶揄して「金魚酒」と当時は呼びました。
そのなかで、今代司酒造は水で薄めていなかったそうです。つまり酒屋さんがたくさん薄めて儲けられるお酒を出荷していたので、酒屋さんからは大変喜ばれたようです。それが酒屋さんたちのなかで評判を呼び、新潟にある大半のお店で扱っていただくようになったそうです。今でも60歳以上の方には、特に聞き覚えのある蔵で、新潟清酒を代表する存在でした。
お酒というものは、人の生死において無くてはならないものではありません。しかし、お酒を酌み交わすという行為を通じ、人は心を通わせてきたのではないでしょうか。
今代司酒造では「むすぶ」ということを自身の存在価値であると考え、日々の取り組みをしています。
今代司という名前は元来「今の時代を司る」という意味ですが、現在私たちは「今の時代に合った酒の楽しみ方を創造する」という解釈をしています。酒造りのような伝統産業となると「敷居が高い」「小難しい」というような印象を与えがちですが、私たちは皆さまによりいっそう地酒に親しんでいただくために、古くからの伝統を大切にすると同時に新しいコンセプトやデザインにもこだわり、今の時代に合った地酒の魅力や楽しみ方を表現していきます。
地方の衰退が叫ばれて久しいですが、その解決に向けて酒蔵にも貢献できることがあると信じています。元来、地酒とは地元の米・水・気候といった地域資源を活かして醸されるものだと考えています。そのため、地酒を知ることはその地域を知ることにもなり、「酒は地域を表す」と言うことができます。地酒には地域の魅力がギュッと詰まっているのです。多くの酒蔵は地方に存在していますから、地酒の魅力を伝えることは、地方の魅力を伝えることにもなっていきます。
特に今代司酒造は、日本一の蔵元数を誇る新潟県内において、玄関口である新潟駅から最も近くに蔵を構えております。そのため、酒蔵を閉ざすのではなくオープンにすることで、少しでも多くの方々がよりいっそう地酒に親しめる環境をご提供することに使命を感じ、日々皆さまをお迎えしております。そして、こだわりのあるコンセプトやデザインによって、田園風景が広がり、地酒とガストロノミーが息づく、そんな地方の魅力を伝えてまいります。
冒頭でお伝えしたとおり、お酒というものは、人の生死において無くてはならないものではありません。お酒を酌み交わすという行為を通じ、人は心を通わせてきたのだと考えておりますが、お酒はあくまでも脇役です。しかし、お酒は淡麗で飲み飽きのしないものにすることで食を引き立て、盃を進め、人に笑顔をもたらすアシストをしてくれます。今代司酒造ではこれからも、人と人が心を通わせるその時に、寄り添うことができるお酒をつくっていきたいと思います。
今代司酒造では、出会った皆さまとのご縁を一度きりのものではなく、いつまでも続くものとして大事にしております。そのためにはモノづくりという範疇を超え、コトづくりをしていく必要があると思います。まだまだ実現には程遠いですが、次は何をしてくれるのだろうかというワクワクをご提供し、さらには応援していただける酒蔵でありたいと思っています。酒蔵にできることはもっとある。私たちはこれからも皆さまとむすばれながら挑戦を続けてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
今代司酒造では、酒造りを見直したいという想いで、2006年からアルコール添加を一切行わない全量純米仕込みに切り替えました。それは、酒どころ新潟において戦後最初の取り組みでした。アルコール添加やその他副原料を使わないということは、酒造りの最後に味や香りを調整することができないということです。それゆえ、最初から最後まで、酒造りのすべての工程が緊張感あふれる真剣勝負となることは、全量純米仕込みにするメリットでした。純米大吟醸、純米吟醸、純米酒と、純米だけを作る純米専門の酒蔵として、個性を大切にした酒造りに取り組んでいます。
ご存知の通り、酒造好適米(酒米)は「米粒が大きい」『タンパク質の含有量が少ない』「水を吸いやすく糖化性がいい」という特徴があります。また心白率が高く、蒸米を長く冷却しておいても“もろみ”の中で溶けやすいなど、まさに日本酒造りにぴったりのお米といえるものです。
今代司酒造では、1種類を除くほぼすべての酒において、麹米・掛米ともに新潟県産の酒造好適米を100%使用し、純米の旨味とキレの良さの両立を実現することで、食を引き立たせ、飲み飽きせず、人に寄り添える酒造りに努めています。
日本酒造りでは水がとても大きな意味を持っています。特に仕込みに使う水、そして割水といって最後に加える水の質が重要です。この水においては、味、におい、濁りが無いことが絶対条件ですが、麹菌や酵母菌の発育に必要なミネラル分が適度に含まれており、酒質劣化の原因となる鉄分やマンガン、有機物が少ないことなども大切な要件となります。かつての今代司酒造では、蔵の周囲で湧き出た阿賀野川の伏流水を使用していましたが、環境の変化に伴い酒造りに最適な水を探しまわり、「菅名岳」の天然水にたどり着きました。現在は、仕込み水のすべてで「菅名岳」の天然水を使用しています。